NASAが新年に太陽系外へ訪れることを知るための5つのこと
NASAの無人探査機ニューホライゾンズは、来年の1/1に遠く太陽系外の、原始的な岩体を通り過ぎることを科学雑誌Natureが報道していました(
https://www.nature.com/articles/d41586-018-07827-7
)。自分の興味と少し外れていますが、面白そうだったのでまとめてみました。
この岩体は地球から約65億 km離れており、これまでに訪れた最も遠い距離の記録を上回ることになります。
接近目標の岩体は、MU69と呼ばれています。探査機は秒速14 kmで前進し、わずかな時間のみ接近しますが、その後数時間後もしくは数日後に接近時の写真が地球に送られてくるようです。
MU69はこれまでに訪れた最も原始的な物体と考えられており、45億年以上前に合体し太陽系を形成したガスと塵の円盤について、多くのことが明らかにされると考えられています。Natureの記事では、このランデブーに関する5つのことが紹介されていました。
1. MU69は冥王星より遠くに位置している
MU69は冥王星と同様に、エッジワース・カイパーベルト(
https://ja.wikipedia.org/wiki/エッジワース・カイパーベルト
)に存在しています。しかし、冥王星は直径2370 kmと大きな準惑星であり、造山活動が行えるような内部地質学的エンジンを持つのに充分な大きさですが、MU69は直径30 km程度の小さな準惑星です。そのため、地質学的な原型を留めている可能性があります(もしかしたら隕石衝突などでできたものかもしれませんが・・・)。
2. MU69はどのような見た目か分かる
恐らく暗く、赤く、凸凹でしょうが、さらにその全景が分かると思われます。
MU69は非常に遠い場所に位置しているので、2014年の発見はハッブル宇宙望遠鏡でさえも非常に困難なものでした。
今まで、2017年に3回、2018年に1回、MU69がより遠い星の前を通った時の影を観測することで、MU69の大まかな形を明らかにしてきました。落花生のような形と考えられていましたが、二つの岩体が重なっていても同じような影になるので、はっきりと明らかにされていませんでした。
3. 太陽系の形成ついて多くのことが明らかにされると思われる
冥王星は何かと衝突したことで星の軌道が太陽系の軌道と比べて傾いていますが、MU69はほぼ元の軌道のまま太陽を周回しているようです。もし本当なら、45億年以上前にMU69が形成された時から今までずっと太陽系外の非常に冷たい空間に位置していたことになります。MU69を含めたエッジワース・カイパーベルトの岩体は、元は惑星を形成したと考えられている太陽周辺の物質の残渣物と考えられています。MU69に注目することで、エッジワース・カイパーベルトの岩体についてさらに理解できると思われます。
4. 到着はとても困難だった・・・
冥王星までの操縦は大変困難でしたが、それより16億 kmも遠くまでの操縦は先例のないことでした。これまでニューホライゾンズは遠い星の写真を取り、MU69が背景に対してどのように動くかを観測することで、MU69の軌道を調べていました。現在ニューホライゾンズの管制官は、MU69の表面から約3500 km上空を飛ぶ経路で調査できるように指令を打ち込んでいるようです。
5. 接近通過日数はわずかである
これらの調査はMU69に接近通過するわずかな時間で行われますが、だからと言ってすぐに様々な結果が分かるわけではありません。
ニューホライゾンズはMU69にアメリカ東海岸時間の1/1のAM 12:33にに最も近づきます。その後地球まで情報を光速で送るのに6時間以上かかります。
最初の接近した時の鮮明な写真は次の日の朝です。
その時にようやく、今まで調べられたことのない、最も遠い世界について初めて垣間見ることができるでしょう。
楽しみですね。また続報を待ちたいと思います。