カモノハシの見た地球

社会人ですが、博士号取得を目指して勉強中です。気になった記事(主に地球科学系)を自身の勉強も兼ねて紹介しようと思います。あと趣味(漫画、映画、特撮)とかまとめたいです。

不均衡な顔が洞穴内の目のない魚の道案内を助けている?

光の届かない洞穴内には、目が退化した魚が存在しています。その一種であるAstyanax mexicanusは、目が退化して非対称となった自身の顔を泳ぐための方向決定に利用している可能性が明らかにされました(

https://www.sciencemag.org/news/2019/01/lopsided-face-helps-eyeless-cave-fish-navigate

)。

初めて知りましたが、洞穴内の生物は顔や形が左右非対称のようです。例えば、洞穴内の魚は片方の目が大きい傾向があり、カマドウマは左右の触覚の長さが違うようです。記事で紹介されている研究者らはこの左右非対称の顔がどのように彼らの生活に役立っているかを調べました。

研究者らはAstyanax mexicanusの頭をコンピューター断層撮影することで、この種の顔が左に傾いており、右顔の面積が相対的に大きい傾向を明らかにしました。また、他の調査では、これらの種は洞窟の壁の右側に沿って漂う傾向を示しました。これらの結果から、顔のより大きい側面を暗闇の中で方向を感じるために使っている可能性を示したようです。

次に研究者らは、魚の頭についている感丘を数えました。この感丘は水流や振動を検知することができます。その結果、目の見えない魚は目の見える魚に比べて感丘の数が多く、また大きいことが分かりました。

 

この違いを遺伝的に明らかにするために、研究者らは洞穴魚と普通の魚を飼育しました。その結果、感丘の多い魚は普通の魚に比べてMn1と呼ばれる遺伝子の発現度が高いことが分かりました。マウス実験では、Mn1の多いマウスは顔面骨の異常を引きおこします。魚では、通常骨が歪んで斜視になっている場所に余分な感丘が現れます。このことから、感丘が骨を異常に発達させる原因となっている可能性があります。

 

この示唆には魚だけでなく、マウスや人間さえも含まれる可能性があります。研究者らは感丘と骨の異常発達、及び行動との関連性を調べることで、感覚と骨の細胞の発達と頭蓋骨異常の関連性の解明を期待しています。